63「北と南と」

 

先日、2017年をもっともよく表す漢字一字として選ばれたのは「北」でした。すぐ頭に浮かんだのは「北朝鮮」という言葉です。かの国の相次ぐ核実験やミサイル発射は世界に新たな対立と戦争への不安を引き起こしたことは事実ですが、それに対して軍事的な報復を主張するアメリカの強硬な姿勢、その尻馬に乗って「北への圧力」を声高に叫ぶこの国の政府も世界の危険を増し加えてきたといえましょう。

 

この「北」という文字は漢字学者の白川静さんによれば「人が互いに背を向けて座っている姿」だそうです。「北」の字は、この一年の世界の国々が背を向けあってきた現状を現しているといえましょう。

 

旧約聖書では「北」とはしばしば北方からイスラエルを侵略するアッシリアやバビロニア帝国を指す言葉でした。イスラエルにとって「北」は侵略の恐怖と戦争の危機をもたらす国であり、民族を意味していたのです。

 

しかし聖書には「天はあなたのもの、地もあなたのもの、御自ら世界とそこに満ちるものの基を置き、北と南とを創造されました」(詩編8913) 北もまた神の創造の地であり、神の支配されている土地です。

 

「北」の字を真ん中を中心に左右をひっくり返せば「臼」(うす)という字になります。これは手をお互いに差し出して穀物をこねている姿とされています。たがいに向き合って共に食料をつくっている平和の姿です。

 

「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び。ヘルモンにおく露のように、シオンの山々に滴り落ちる」(詩編133) ヘルモンはイスラエルの北方にある山です。その北の山と南のシオンの山々(エルサレム)とが兄弟として共に座している。そこに平和がある、なんという恵み、なんという喜び。

 

新しい年、北にも南にも、主の平和が共にありますように。

 

大都会の小さな教会

 目白通りを一本入った閑静な住宅地に、芝生の生い茂った暖かい教会があります。

 信仰に導かれて長い間この教会を支えて来られた年配の方々、またその方たちを心のよりどころとする若い仲間たち。ここには明るい笑顔に包まれた「神の家族」があります。

「家庭的なぬくもりを感じますね」と、新しく来られた方々からよく言われます。

 これからもこの地域に根ざした、愛と希望に満ちた教会形成に励んで参ります。

 

「二人または三人が私の名によって集まるところには、私もその中にいるのである」<マタイ18:20>

 

どうぞどなたでもご自由に教会をお訪ねください。