13. 余滴 『近づく』
「一寸先は闇」とよく言われます。人生はほんの少し先に何が起こるか分からない、ということです。「一寸先は病み」を経験したのは60歳の時でした。思いもよらずガンと宣告され、人生の終わりを覚悟したことです。あれから15年、死がいつも近くにあることを感じながら生きてきました。「天の国は近づいた」イエスが最初に語られた言葉は天の国の近さでした。天国と言うと、死んだ人が向かう所と理解されることが多いのですが、天の国は死者の世界ではないのです。それはイエス・キリストが支配し、統治されている所のことです。それがいま近づいている」。一寸先まで来ているのです。一寸先はもはや闇ではないということです。「二人、または三人が私の名によって集まっている所には、私もその中にいる」(マタイ18:20)。天の国は7私たちの真中にあるのです。教会での集いの中に、この礼拝の中に、私たちは天の国の現存を味わうのです。たとえ、一寸先には闇がなお続いているとしても、一歩先には光が近づいているのです。昨今の世界の情勢は暗闇の姿を呈しています。日本の世相も暗いです。一寸先も見えません。しかし、イエスと共に天の国は到来しているのです。この先の光へと一歩を踏み出しましょう。
(マタイによる福音書12章12~17)