11. 余滴 『退く』
悪魔は三度目にイエスを高い山に連れて行き「世のすべての国々とその繁栄ぶり」を見せます。「繁栄」は「栄光」と同じ言葉で、本来は神の栄光を意味します。しかしイスラエルの人々は「神の栄光」は地上における祝福や繁栄としてあらわれると考えていました。悪魔が山の上から見せたものは神の栄光とされた繁栄だったのです。サタンは言います。ひれ伏して私を拝むなら、これをみんな与えよう。「神の子なら神の栄光を継ぐのは当然のことではないか。ただし、私を神として拝むことが条件だが」この世界の栄光と繁栄とを手にすることができるのなら、悪魔にでも喜んでひれ伏す人は多いでしょう。イエスにとっても最大の誘惑です。「退け、サタン。あなたの神である主を拝め」 悪魔は自分を神として拝めと言います。しかし悪魔こそあなたの神である主を拝まなければならないのです。現実の世界では悪魔の存在は巨大で、神に逆らう者の力や繁栄の方が優勢に見えます。しかし、悪魔に向かって、「退け!」と語る方はイエス・キリスト、神の子ご自身なのです。悪魔が神の子に勝てるわけはない。「悪魔は離れ去った。すると天使たちが来てイエスに仕えた」悪魔と神の子の第一ランドの終了です。
(マタイによる福音書4章8~11)