43「分ける」
一時、若者たちの間で「ルーム・シェア」が流行りました。マンションなどの部屋を借りて何人かで一緒に住むという生活形態です。最近は「カ―・シェア」といって一台の車を共用するということも広まっているようです。経費的にも安く済むという実利的な面もあるからでしょう。
イエスは人里離れた荒れ野で「五つのパンと2匹のサカナ」を手に取り、それを裂いて五千人に分けると、人々は食べて満腹したとあります。「給食の奇跡」と呼ばれる出来事です。
この出来事は四つの福音書で、少し形を変えてはいますが、合計6回も出てきます。荒野で「五つのパンと二匹のサカナ」を分け合った出来事が、その場にいた多くの人々にとって忘れることの出来ない感動的なものだったのでしょう。
事実、人々はこの出来事を「神の国の饗宴」の先取りとして味わっていたといえるでしょう。神の国とはあり余る豊かさを分けあうことではなく、貧しさを分かち合うことだと人々は知ったのです。「分かち合い」がすべての人が満腹になれる食事であると。
豊かさの分け合いは奪い合いとなり、利己心と格差を生み出します。しかし、貧しさの分かち合い(シェア)はケア(心遣い)とフェア(公正)を伴なうのです。
天国での饗宴は、ディナー・シェア、いや日本式のなべ料理かも。