15. 余滴 『つくる』
8月6日は広島に世界で初めて核兵器が投下され、9日には長崎で2番目の原爆が落とされ、そして8月15日は敗戦の日です。8月は戦争と平和について考えさせられる月であります。
「平和を実現する人々は幸いである」この言葉(複数形)は聖書の中で、ここ一か所でしか使われていません。しかし、その単数形は当時のローマではしばしば使われていました。「平和を実現する人」とは実はローマ皇帝をさす言葉であったのです。ローマの平和(パックス・ローマナ)と呼ばれるものを実現したのはローマ皇帝その人だったからです。そのことの故に、彼は「神の子」と呼ばれていました。
イエスは「平和を実現する人々」と私たち一人ひとりが「平和をつくる者」(口語訳)であると語られるのです。
それは軍事力や政治力や経済力によって支配する「力による平和」ではなく、イエスご自身が示された「平和」、すなわち「友のために命を捨てる、これより大きな愛はない」との愛に生きることなのです。この愛によってのみ戦争を越えて平和をつくることができるのです。
愛は暴力や軍事力の前には屈するように見えて、しかしそれらの力を越えるものだからです。
(マタイによる福音書5章8節)